自己資金を少しでも増やすために投資してみたい、でも投資に関する知識もない、本業が忙しくて運用に時間が割けない、リスクをできる限り回避したい、そんなニーズに最適な投資法が「ソーシャルレンディング」です。参入するにあたって、どのソーシャルレンディング事業者を利用すべきか?まずはその選定に悩んでいる方も多いでしょう。
なぜなら、ミドルリスク・ミドルリターンであるソーシャルレンディングも、投資である限りリスクをゼロにできないからです。投資するファンド案件の詳細公開が法律によって制限される一方、その保全性を審査するのはソーシャルレンディング事業者です。つまり、ソーシャルレンディングでは、事業者の信頼性を見極めるのがリスクヘッジの重要な要素になるのです。
その意味において注目が高まっているのが、金融大手SBIグループが運営する「SBIソーシャルレンディング」です。新興企業の多いソーシャルレンディング事業者のなかでも、大手金融グループの運営による信頼感は抜群であり、ソーシャルレンディング初心者にもおすすめできるサービスだといえるでしょう。
そこで本記事では、SBIソーシャルレンディングの取扱ファンド案件や利回り、特徴などを解説するとともに、実際に投資家からどのような評判を得ているのか?リサーチの結果を紹介していきます。
Contents
ソーシャルレンディングとは?
ソーシャルレンディング(Social Lending)とは「資金を集めたい人・企業(ボロワー)」と「自己資金を投資したい人・会社(レンダー)」をインターネットを介して結びつけ、双方のニーズを仲介する融資・貸付仲介サービスです。
ソーシャルレンディング事業者は、事業運営などに資金を必要とするボロワーを募ってローンファンドを形成・公開し、レンダーからの投資によって融資資金を調達します。レンダーは投資の見返りとして、ボロワーが支払う金利から利回りという形の利益分配が得られるのです。
ファンド案件には返済計画に従った運用期間が設定され、満期とともにレンダーに元本償還されますが、これら一連のローンファンド運用・手続きはソーシャルレンディング事業者によって行われます。このため投資家であるレンダーは、投資するファンドの選択以外、すべきことはほとんどないといっていいでしょう。
ソーシャルレンディングについてより詳しく知りたい方はこちら >>
SBIソーシャルレンディングとは?
「SBIソーシャルレンディング」は、SBIインベストメント株式会社、株式会社SBI証券、SBI生命保険株式会社、住信SBIネット銀行株式会社などの大手金融企業、SBIグループの100%子会社であるSBIソーシャルレンディング株式会社が運営する、ソーシャルレンディングサービスです。
2011年3月にサービス提供を開始し、2019年4月末現在、融資残高約331億円、登録完了者数3万4,265人という、ソーシャルレンディング業界第2位の規模を誇っています。資本の安定性や企業の信頼感から、ソーシャルレンディングの盛り上がりとともに急成長を遂げるサービスです。
SBIソーシャルレンディングが急成長を遂げているのは、1万円から投資できる手軽さ、毎月の利益分配など、投資初心者でも比較的安心できる要素が揃っているからだといえるでしょう。
SBIソーシャルレンディングの取扱ファンド・利回り
利回りが低くてもリスクの少ないファンドに投資したい、リスクが高めでも利回りの有利なファンドに投資したいなど、投資家がソーシャルレンディングに求める要素はさまざまです。
SBIソーシャルレンディングの特徴は、こうした投資家の要望に応えられる、さまざまな種類のローンファンド案件を取り扱っていることであり、ニーズに応じて選択できる、利回り3〜10%のローンファンドが用意されています。具体的に解説していきましょう。
常時募集型ローンファンド
一般的なソーシャルレンディング事業者の場合、ボロワーの融資要請に応じて、都度ローンファンドが形成・公開されます。このため、ファンド案件の公開は不定期になるケースが多く、投資額が目標を達成すれば募集は締め切られてしまいます。
これに対し、SBIソーシャルレンディングでは、募集期間こそ定められているものの、ほぼいつでも投資できる常時募集型ローンファンドを持っているのが大きな特徴です。
そのひとつが、毎月1〜15日、16〜月末の月2回で常時募集している「不動産担保ローン事業者ファンド」です。これはその名の通り「不動産を担保にしてローン事業を営む事業者」に貸付するローンファンドであり、運用期間約14か月で3.2〜5.0%と利回りは低めなものの、SBIソーシャルレンディングの創業以来、もっとも実績のある安定したローンファンドです。
もうひとつは、毎月1〜20日の月1回で常時募集している「カンボジア技能実習生支援ローンファンド」です。「日本で技能・技術を学びたい、カンボジアの人を支援するため」に貸付するローンファンドであり、運用期間約12か月で10%という高利回りが期待できる代わりに担保がないため、リスクの高い案件です。
リスクの低い担保ありファンド、リスクの高い担保なしファンドと、ニーズに応じて選べるファンドにほぼいつでも投資可能なのは、SBIソーシャルレンディングを利用する大きなメリットです。
オーダーメイド型ローンファンド
もちろん、SBIソーシャルレンディングは、上述した一般的なローンファンドも「オーダーメイド型ローンファンド」という呼び名で取り扱っています。
そのひとつが「メガソーラーブリッジローンファンド」です。これは「太陽光発電事業者のため」に貸付するローンファンドであり、運用期間9〜24か月程度で不定期募集ながら7.0〜9.0%の利回りが設定されています。
もうひとつが「不動産バイヤーズローンファンド」です。これは「不動産の売買などを行う事業者のため」に貸付するローンファンドであり、運用期間12〜18か月程度で、LTV80%未満の不動産担保付ながら6.5〜9.0%の利回りが期待できる案件です。
どちらも高利回りでありながらも、ファンド毎の募集金額が設定されるため、すぐに募集が締め切られてしまう人気の高いファンド案件だといえるでしょう。
ロールオーバーとは?
常時募集型という、ほかにはないファンド案件を扱うSBIソーシャルレンディングの場合、投資の際に気を付けておくべきポイントがあります。それが「ロールオーバー」です。
常時募集型といっても、ボロワーが望む融資額に上限がないわけではありません。特にカンボジア技能実習生支援ローンファンドの場合、融資金額が少額になる傾向にあるため、結果的に募集金額を上回る投資が集中してしまいます。
この場合、余剰となった投資金は次回のファンド案件に繰り越されてしまいます。これがロールオーバーです。余剰の投資金が大きくなれば繰り越される期間はさらに先延ばしされるため、投資しても運用されない期間が発生します。ロールオーバーが発生している場合はWebサイトでも明示されるため、仕組みを理解したうえで投資しなければなりません。
SBIソーシャルレンディングで取引するには?
一般的なソーシャルレンディングサービスでは、投資をはじめる前にサービスへの登録、および投資家口座の開設が必要であり、マイナンバーや身分証明書などを用意しなければなりません。開設した投資家口座に入金しなければ、実際の投資をはじめられないのをご存知の方も多いでしょう。
SBIソーシャルレンディングでも投資家登録が必要であり、マイナンバーなどの準備は必要ですが、一般的なサービスとは投資・取引の方法がやや異なります。これは、SBIソーシャルレンディングが預託金制度を採用していないためです。
預託金制度とは?
預託金制度とは、投資家が開設した投資家口座=デポジット口座に預託金を入金し、その金額の範囲内で投資するという制度であり、利益の分配や元本の償還も投資家口座に振り込まれます。上述したように、ほとんどのソーシャルレンディング事業者が採用している制度であるため、ほとんどのサービスで投資家はデポジット口座を開設しなければならないのです。
一方、預託金制度を採用しないSBIソーシャルレンディングの場合、投資家口座の開設は必要ありません。取り引きする場合はファンドへの投資申し込み確定後、メールで指定された口座に投資金額を直接振り込むことになり、利益分配や元本償還は、投資家個人の銀行口座に振り込まれます。
ファンド案件に入金する2つの方法
どちらの取り引き方法にメリットを感じるかは、投資家個人の考え方によりますが、SBIソーシャルレンディングで投資する場合は、ファンド案件毎に投資金額を振り込まなければならないのは事実です。
投資家が一般的な銀行口座のみ所有している場合、投資資金は指定された銀行口座に振り込むのが基本的な入金方法です。この場合、所有する銀行口座によって上下するものの、少なくとも振込手数料が発生します。できる限り手数料を低く抑えられる銀行で口座を開設するなど、なんらかの対策が必要でしょう。
住信SBIネット銀行に口座を所有している場合、クイック入金サービスという振込方法を利用すれば、手数料無料で入金できます。しかしこの方法では、カンボジア技能実習生支援ローンファンドへの投資ができないことに注意が必要です。
SBIソーシャルレンディングの評判
ここまでで、SBIソーシャルレンディングがどのようなサービスを提供しているのか?取扱ファンドや利回り、運用期間などを、独特の特徴とともに解説してきました。これらを踏まえたうえで、SBIソーシャルレンディングが投資家からどのような評判を得ているのか?紹介していきましょう。
SBIグループならではの信頼感
SBIソーシャルレンディングは、金融大手SBIグループの100%子会社であり、グループ持株会社のSBIホールディングスは東証一部上場企業です。新興企業やベンチャー企業の多いソーシャルレンディング業界において、投資に関するノウハウを持つSBIグループの一員であることは、SBIソーシャルレンディングが多くの投資家から信頼感を得る原動力になっています。
デフォルトの可能性など、万一のケースを想定したうえでも、安定した資本状況が投資家の安心感につながっているようです。ワールドビジネスサテライトで取り上げられた際も、ポジティブなコメントが数多く寄せられていました。
不動産担保・厳格な審査でリスクヘッジ
すでに解説したように、SBIソーシャルレンディングのファンド案件は、すべてが担保保証されているわけではありません。しかし、担保なしのファンドでも金融大手のノウハウを活かした厳格な審査を実施しており、不動産事業関連ではすべてのファンドに担保を用意することでリスクヘッジをしています。
その基準は財務諸表による審査、代表者の経歴・事業実績の調査、事業業界の動向・実態調査、外部調査外車の活用など多岐に渡っており、こうした情報を明示している点で、投資家から高い評価を得ています。
出金手数料が無料
住信SBIネット銀行の口座を持っていない投資家が、SBIソーシャルレンディングで取り引きする場合、ファンド案件に投資する都度、振込手数料が必要なのはすでに解説したとおりです。一方、毎月の利益分配や元本償還は、投資家の銀行口座に直接振り込まれますが、これに必要な手数料はSBIソーシャルレンディングが負担してくれます。
一般的なソーシャルレンディング事業者では、投資家口座から自身の銀行口座に出金する場合、少なくとも税別300円の出金手数料が発生するため、SBIソーシャルレンディング出金手数料無料は魅力的です。これを歓迎する声が、多くの投資家から寄せられているようです。
管理手数料が必要
一方、ネガティブな評判もないわけではありません。その最たるものが「管理手数料が必要」なことでしょう。
多くのサービスと同じように、SBIソーシャルレンディングでも会員登録、ファンド取り引き、ファンド運営など、ほとんどのサービスが無料で利用でき、出金手数料も無料という大きなメリットもあります。
しかし、SBIソーシャルレンディングでは、ファンド案件によって異なるものの「管理手数料」が設定されているのです。管理手数料はおおよそ利回り1%相当のことが多く、名目利回りを押し下げるように見えてしまいます。
この管理手数料に困惑する投資家も少なくありませんが、実際には他社サービスでも管理手数料は差し引かれており、差し引き後の利回りのみを表示しているともいえます。そういった意味では、明確に自社手数料を公開しているSBIソーシャルレンディングは、透明性が高いといいかえることもできるかもしれません。
投資方法がやや複雑
預託金制度を採用していないSBIソーシャルレンディングの場合、まず投資したいファンド案件を選んで申し込みしなければなりません。申し込み確定後は、届いた確認メールに記載されている指定銀行口座に投資金を振り込む、というのが手続きの流れになります。つまり、申し込み・振り込みという2つの手続きを別々に行わなければならないため、投資方法が複雑・面倒だという声もあります。
一般的なサービスであれば、それぞれの手続きはほぼ同時に行えるため、ネガティブな声があるのも不思議ではありません。一方で、ムダな振り込みが必要ないなどのメリットもあるため、この点に関しては投資家個人の考え方による、といえるでしょう。
利回りはやや低め
カンボジア技能実習生支援ローンファンドのように、10%の利回りが設定されるファンドもありますが、平均が8%前後といわれるソーシャルレンディング業界全体で見ると、SBIソーシャルレンディングの利回りはやや低めだといえます。
人気の高い分、オーダーメイド型ローンファンドへの投資が困難、カンボジアローンファンドではロールオーバーが発生中など、SBIソーシャルレンディングの現状を考えると、投資しやすい主力ファンドは常時募集型の不動産担保ローンファンドだといえます。
しかし、不動産担保ローンファンドの利回りは3.2〜5.0%であり、上述したように管理手数料も差し引かれます。こうした状況から、条件のいいオーダーメイド型をより多く求める声が多数挙げられています。
まとめ
金融大手のSBIグループであるSBIソーシャルレンディングは、そのバックグラウンドによる資本の安定性、信頼性から、投資家の大きな支持を得ているサービスです。利回りは低めではあるものの、抜群の安定性と常時募集の強みを活かした不動産担保ローンファンドもラインナップしており、初心者でも利用しやすいソーシャルレンディング事業者だといえるでしょう。
一方、ソーシャルレンディングでの投資に慣れている方にとって、一部、戸惑ってしまう点があるのもSBIソーシャルレンディングの特徴です。しかし、財務体質や運営に疑問を抱くような点は一切見当たらず、安心して活用できるサービスであるのも事実です。
本文でも紹介したように、投資家登録を済ませるのに費用は必要ありません。分散投資にも最適なSBIソーシャルレンディング、まずは登録だけでも済ませてみてはいかがでしょうか?