働き方改革の推進もあり、副業を推進する企業も多くなってきました。賃金の上昇に多くを期待できない状況もあって、副業をはじめようかと考えている人も少なくないのではないでしょうか?しかし、本業を圧迫するほど副業にリソースを投入できない、かといってリスクの高い投資に手を出すのは躊躇してしまう、そう考える人も多いでしょう。
そんなケースにピッタリなのが、ミドルリスク・ミドルリターンの投資法である「ソーシャルレンディング」です。専門的な知識を必要とせず、1万円から投資できるなど、手軽に参画できることで急成長しているサービスです。一方、ソーシャルレンディングが比較的新しい投資法であることから、実態がつかめない、どんなサービスを利用したらいいのかわからないという人が多いのも事実です。
そこで本記事では、沖縄発のソーシャルレンディングサービスとして注目の高まる「Pocket Funding(ポケットファンディング)」を取り上げ、どのような事業者が提供するどのようなサービスなのか?その仕組みはどうなっているのか?などの特徴を解説し、ポケットファンディングを利用するメリット・デメリットを評判とともに紹介していきます。
Contents
ソーシャルレンディングとは?
まずは、ソーシャルレンディングとはどのような投資法なのか?その基本をおさらいしておきましょう。ソーシャルレンディングとは、インターネットを介して「資金を調達したい人・企業(ボロワー)」と「資金を投資したい人・会社(レンダー)」を結びつけ、双方を仲介する融資・貸付仲介サービスです。
具体的には、ファンド案件という形でレンダーから集めた資金をボロワーに融資・貸付し、返済計画に従って資金を利息とともに回収するのがソーシャルレンディング事業者の役割です。回収された利息は利回りという形でレンダーに分配され、ファンド案件の完了とともに元本も償還(資金の返却)されます。
ボロワーがどのような事業に資金を必要としているのかは、ファンドを形成するソーシャルレンディング事業者によってさまざまですが、共通しているのはボロワー、およびその具体的な事業内容の公開が、法律によって制限されていることです。
つまり、形成するファンドに正当性があるか?返済の見込みは充分か?万一の担保はあるのか?などのリスク・信頼性を見極めるのはソーシャルレンディング事業者の役割であり、その判断がファンド運用のカギを握っています。レンダーがソーシャルレンディングに参画する際に、どのサービス事業者を選択するかが重要になるのはこのためだといえるでしょう。
Pocket Funding(ポケットファンディング)とは?
Pocket Funding(ポケットファンディング)とは、沖縄県のファンド案件を中心に取り扱う、沖縄発のソーシャルレンディングサービスです。沖縄県浦添市に本社を持ち、2011年に設立された「財全グループ」傘下の「ソーシャルバンクZAIZEN株式会社」が運営し、2017年8月にサービスの提供を開始しています。
近年は関東地方のファンド案件も取り扱っていますが、ポケットファンディングが扱うのは沖縄県内のファンド案件が基本であり、地域が限定されがちなことに不安を覚える人もいるかもしれません。
しかし、観光地として着実な成長を遂げ、人口も右肩上がりで増加する沖縄県は、国内でも有数の成長地域でもあります。ポケットファンディングが注目されるのは、成長の期待できる沖縄発ということも理由のひとつだといえます。
Pocket Funding(ポケットファンディング)の運営体制
Pocket Funding(ポケットファンディング)の運営会社であるソーシャルバンクZAIZENが財全グループに所属することは紹介しましたが、同グループはほかにも不動産業の財全エステート、再生エネルギーの財全エネシフトなどの関連会社を傘下に持っています。
このうち、ソーシャルレンディング事業であるポケットファンディングの運営にかかわるのは、ソーシャルバンクZAIZENおよび、ファイナンス業の「株式会社財全ソリューション」です。
具体的には、ソーシャルバンクZAIZENがポケットファンディングを通じて、ボロワー・レンダーの募集や両者の仲介・ファンド形成を実施しますが、ボロワーへの融資を担当するのはファイナンス業の財全ソリューション、という運営体制になっています。
ファンド形成時に重要になる「担保評価」を行うのも財全ソリューションが中心であり、1995年設立という歴史とファイナンス業のノウハウを活かし、プロフェッショナルによる正確な担保評価を行っているのが特徴だといえるでしょう。
Pocket Funding(ポケットファンディング)のファンド案件
Pocket Funding(ポケットファンディング)の扱うファンドが、沖縄県の案件中心であるのは解説しましたが、その種類は大きく不動産向けと事業向けに分類できます。
もっとも多いのが、不動産事業を行う企業に資金を融資する「一部不動産担保ローン」です。目的は不動産事業の運転資金、不動産購入などさまざまですが、その性格から運用期間は10〜12か月とやや長めです。ソーシャルレンディングでもっとも一般的なファンド案件だといえるでしょう。
もうひとつは、事業の運転資金を融資する「事業支店ファンド」です。不動産購入などとは関連のない介護事業など、ビジネスの運転資金を目的にしたファンド案件であり、7〜13か月程度の運用期間が設定されるケースが多いようです。いずれのファンドの場合も、ポケットファンディングの基本的な体制で運用されます。
Pocket Funding(ポケットファンディング)の利回り・分配
Pocket Funding(ポケットファンディング)のWebサイトでは、目標運用利回り4%〜とされていますが、実際には6〜8%程度のファンド案件が多く公開されており、平均では約7%程度の利回りが期待できます。これは、ソーシャルレンディングの基準からすればやや低めですが、不動産ファンド案件中心であることを考えれば充分な利回りだといえるでしょう。
不動産に特化したソーシャルレンディングを手がけるオーナーズブックなどでは、分配は四半期に一度ですが、ポケットファンディングの場合、利回りによって得られた利益の分配は毎月行われのが異なります。
Pocket Funding(ポケットファンディング)の口座の仕組み
ソーシャルレンディングサービスを利用するには、専用口座の開設が大前提になります。レンダーは開設した専用口座に投資資金を入金し、投資したいファンドを選択すれば、投資金額分が専用口座から差し引かれる形になります。
Pocket Funding(ポケットファンディング)の場合「マスター口座」と呼ばれる専用口座を開設するのはほかのサービスと同様ですが、その先の仕組みがやや異なるのが特徴です。ポケットファンディングでは、投資用の「ファンド別口座」が別に用意されており、案件に投資する場合は、マスター口座からファンド口座に資金を移動させなければなりません。
これはポケットファンディングが、ソーシャルレンディング以外の新たな投資サービスの提供を検討しているからあり、太陽光発電ファンド、投資型ファンドなどの投資サービスが計画中だとされています。
いずれにしても、マスター口座からファンド別口座への資金移動手数料は発生しないため、そういうものだと考えて利用することになるでしょう。
Pocket Funding(ポケットファンディング)のメリット
ここまでの解説で、Pocket Funding(ポケットファンディング)の概要や特徴が大体見えてきたのではないでしょうか?それでは、ソーシャルレンディングサービスとしてポケットファンディングを利用するメリットはなにか?具体的に紹介していきます。
すべてのファンド案件が不動産担保付
ミドルリスク・ミドルリターンとはいっても、ソーシャルレンディングが元本保証のない「投資」であるのは間違いありません。つまり、ボロワーが資金の返済を履行できなくなる「デフォルト」の可能性はゼロではなく、資金回収できなかった場合の負債はレンダーが負わなければなりません。
こうしたリスクを最小化するための保証といえるのが「担保」です。ソーシャルレンディング事業者は、ボロワーに融資する代わりに担保の抵当権を入手し、万一の場合は担保を処分してレンダーの元本をできる限り保証するのです。
一部のソーシャルレンディングサービスでは担保設定のないファンド案件もありますが、ポケットファンディングではすべてのファンド案件に「不動産担保」が設定されています。担保が融資に見合った価値を持つのか?を判断するのも、ファイナンス業である財全ソリューションが担当するため安心です。
LTV70%以下で保全性を確保
ファンド案件に不動産担保が設定されていても、担保の価値以上の融資をしていたのでは、万一の債権回収が充分でなくなるのは火を見るより明らかです。こうした融資額と担保価値の比率を表す数値がLTV(Loan To Value)です。
LTVは、融資総額 ÷ 担保価値という計算式で導き出されますが、このLTVの数値が1.0、つまり100%よりも高ければ相当リスクの高い危険なファンド案件だといえます。
ポケットファンディングの扱うすべてのファンド案件は、LTV0.7、つまり70%以下に抑えられているため、仮に担保価値が下落したとしても、資金を全額回収できる可能性が高く、資金の保全性が確保されているのです。
1万円からの投資、1,000円からの追加投資が可能
少額からファンド案件に投資できるのがソーシャルレンディングの魅力でもありますが、ポケットファンディングは1万円からの投資が可能であり、1,000円単位で追加投資できるファンド案件も用意されています。
もちろん、1回の投資に必要な最低金額が1万円であるため、1,000円ずつ投資できるわけではありませんが、1万1,000円、1万4,000円といった額でも投資できるのです。たとえば、ファンドが満期を迎えて償還された金額が1万2,000円あれば、それをそのまま次回のファンド案件に投資できるのです。この柔軟性は魅力的なメリットのひとつでしょう。
デフォルトの実績なし
Pocket Funding(ポケットファンディング)は、2017年8月にサービス提供を開始した、まだまだ新しいソーシャルレンディングサービスであり、実績が豊富であるとはいい切れないのは事実です。しかし、約2年間になろうとするサービス提供期間で、デフォルトに陥ったファンド案件が1件もないのも事実です。
これは財全ソリューションの担保見極めが適切なのとあわせ、ソーシャルバンクZAIZENの案件審査能力、現地調査、融資後のモニタリングなどがしっかりしていることを裏付けているといえるでしょう。
もちろん、ポケットファンディングもまだまだ実績を積み上げている途上であるため、今後の動向をじっくり見守っていく必要もあります。
法人口座・未成年口座の開設が可能
ほとんどのソーシャルレンディングサービスが、ボロワーとして企業を、レンダーとして個人を対象にした展開をしているのに対し、ポケットファンディングは「法人口座」が開設できるうえに「未成年口座」の開設が可能という、珍しいシステムを採用しています。
これによって、資産運用したい法人もポケットファンディングを利用できるのはもちろん、未成年名義で資産運用し、子どもの教育費や将来に役立てるという使い方もできるのです。特に未成年口座を開設できるのは、ポケットファンディングのほかにはクラウドバンクしか存在しないため、特徴的なメリットだといえるかもしれません。
Pocket Funding(ポケットファンディング)のデメリット
ここまでPocket Funding(ポケットファンディング)のメリット面を挙げてきましたが、もちろん、デメリット面もないわけではありません。工夫や考え方で克服できるという見方もあるかもしれませんが、具体的にどのようなデメリットがあるのかを紹介していきましょう。
運営企業の信頼度が全国的ではない
Pocket Funding(ポケットファンディング)を運営するソーシャルバンクZAIZENを含む財全グループは、1995年設立の財全ソリューションを含むファイナンス事業で名の知れた存在であり、20年以上の歴史も誇りますが、それは沖縄に限った話でもあります。つまり、全国的に名の知れた存在とはいえず、結果的に高い信頼度を持った企業だとはいえないでしょう。
会社概要などはある程度公開されているものの、上場を果たしているわけではないため、財務状況なども公開されていません。ポケットファンディングのWebサイトでは、累計応募成立金額が公開されており、ソーシャルレンディング事業自体の進捗は確認できるものの、一部の人にとっては不安材料になるかもしれません。
入出金手数料が高め
少額投資が可能なのがソーシャルレンディングの魅力ではありますが、せっかく配当があっても手数料が高いのでは意味がありません。Pocket Funding(ポケットファンディング)では、手数料が必要になるのはマスター口座の入出金のみのため、口座開設や運用面で費用がかかることはありません。(利益に対する源泉徴収税はかかりますが、この点はどの事業者も同じです)
ただし、ポケットファンディングの責任ではないかもしれませんが、マスター口座の入出金手数料は高めです。たとえば、オーナーズブックの場合、出金手数料が300円(税別)で統一されているのに対し、ポケットファンディングは最高700円(税別)の手数料が必要です。入金の反映時間を含め、みずほ銀行がメインバンクになっているのが影響しているでしょう。
できる限り入出金しない、手数料の負担が少ない方法を模索するなど、なんらかの対策が必須です。
Pocket Funding(ポケットファンディング)の評判
比較的高めの利回りを誇り、デフォルトなしの安定した運営を続けていることで、Pocket Funding(ポケットファンディング)の評判はおおむねポジティブなようです。LTVを70%以内に抑え、保全性を高めているのも好評の要因です。
一方、ファンド案件の募集額が少ないため、すぐに満額になって投資できないという声もあるようです。おそらく、ファンド案件の信頼性や保全性が考慮されているためだと思われますが、気が付いたら締め切られていた、ということが続けば投資意欲を失ってしまうかもしれません。
こうした事情も考慮されたのか、スマートフォンでも快適に操作できる機能が、5月16日に機能限定ながらリリースされています。
まとめ
沖縄に根ざした企業が、沖縄の発展に貢献するソーシャルレンディングを、ポケットファンディングにはそんな意味合いが込められているのかもしれません。ソーシャルレンディングの体裁を踏襲しながらも、独自性を盛り込み、将来的な展開も視野に入れた活動を展開するのがポケットファンディングの特徴だともいえます。
ファンドの募集金額が少ない、案件が沖縄に集中しがちという特性も考えるならば、メインのサービスとして利用するのは難しいかもしれませんが、それこそ分散投資に最適なサービスなのがポケットファンディングなのです。まずはマスター口座を開設してみてはいかがでしょう?投資するかどうかはそれからでも遅くありません。