クラウドクレジットに興味を持ち、投資を考えていたのに、元本割れがあることを知ったために、ためらう人もいることでしょう。
クラウドクレジットでは他社であるような元本保証はありませんので、実際に元本割れをすることも当然あり得ます。
しかし、それだけで危険だと決めつけて、投資を踏みとどまるのはとてももったいないことです。
この記事では元本割れの実質的な評価と、表面だけを見ていてもわからないクラウドクレジットのリスク低減対策などを、できるだけ解りやすく解説しています。
クラウドクレジットで投資をしようか迷っている人は、ぜひ参考にしてくださいね!
クラウドクレジットの元本割れの実態
クラウドクレジットは運用の実態を、常に包み隠さずに公表しています。そのあたり非常に透明性の高い、まるでガラス張りの運用とも言えるでしょうね。
ではまず、現時点(2019年3月末時点)での、クラウドクレジットの最新の運用状況報告を確認してみましょう。
2014年6月~2018年12月末時点までの集計によるクラウドクレジットのファンド実績
- 累計出資金額 ¥17,461,030,000
- 運用開始済みのファンド件数:615件
- 償還済みのファンド件数:192件
- 償還時における元本割れの件数:22件
これまでの類計の実績では、192件の償還済みファンドの中で22件が元本割れをしています。元本割れになる確率は11.5%と更新前(9.4%)より増え、1割を超えています。
次に損益統計表で元本割れになった人数と、マイナス利回りの結果を見てみましょう。
実質的なリスクに目を向けよう

元本割れになっているのは人数で200人弱、利回りがマイナス4~6%の範囲です。
1万円の小口投資をした人で400~600円の損失ということです。10万円で4千~6千円、100万円の投資で4万~6万円ということです。
つまりすべてを失うデフォルトとは違って、ある程度受け入れられるレベルの損失とも言えるでしょう。そもそも投資という世界の中では、これぐらいは目くじらを立てるほどの悪い状態ではないのです。
また、クラウドクレジットの中の、他のいくつかのファンドにも分散して投資をしているひとは、他のファンドで補ってトータルではマイナスにならないことも多いようです。
元本割れをしていない他社のソーシャルレンディングでも、たとえば遅延が数多く発生していたりなどの実情を考え合わせると、クラウドクレジットの実質的なリスクが特別高いわけではないのです。
運用結果を予想するための期待リターンマップ
運用の結果を完全に予測することは不可能です。それでもクラウドクレジットは、運用状況と最終的な見込みに関して投資家への情報提供になるように、期待リターンマップという指標を発表しています。これについてもう少し詳しく見ていきましょう。
期待リターンマップとは?
期待リターンマップはクラウドクレジットが、予測時点における現地のオリジネーターなどから得た情報をもとにして、当該国の貸金市場の動向、貸付債権の延滞状況や回収見込みなどをもとにして、運用状況を総合的に判断し先の予測をしたものです。
もちろんあくまで予測であり、将来の投資成果を保証しているのではありません。
下図が現時点(2019年3月末)で閲覧できる最新の情報です。
引用元:2019年1月末時点の期待リターンマップ・為替レポート|クラウドクレジット
これによると、上から2番めの「欧州3ヵ国個人ローンファンド・ハイイールド型為替ヘッジあり/なし」が元本割れの恐れがあるという予測が立ちます。
同じファンド名のバランス型とリスク低減型、ならびにイタリア個人向けローン・ファンドの計3件がプラスマイナスゼロに落ち着きそうな予測になります。
同じ名前のファンドでも号数によって投資先が変るものは、下図のように号数別で発表されます。
引用元:2019年1月末時点の期待リターンマップ・為替レポート|クラウドクレジット
1番上の「カメルーン中小事業者支援プロジェクト」は3割ほど、同名の為替ヘッジありの方は2割ほどがマイナス償還になるかも知れません。
クラウドクレジットが元本割れを避けるためにやっていること
クラウドクレジットは担保も取らない上に対象が海外案件、それも新興国が多いのでリスクが高いとされます。その分、ハイリターンを期待できるのですが、だからと言ってクラウドクレジットがそれでよしとして、リスクに対して傍観している訳ではあろません。
可能な限り遅延や元本割れ、貸し倒れ(デフォルト)に陥らないような対策を打っているのです。クラウドクレジットが元本割れを避けるためにやっていることを理解しておく必要がありますが、その前に、まずリスクが発生する要因を簡潔にまとめておきます。
リスク発生の要因は?
遅延・元本割れ・貸し倒れが起こってくる要因を3種類に分けて理解しましょう。
新興国ゆえのカントリーリスク
新興国の政治経済はなかなか安定しにくいものです。アップダウンが激しく、金融政策や法整備も脆弱(ぜいじゃく)なので、ちょっとしたことで情勢が大きく変化し、ソーシャルレンディングにも遅延等の影響が出ます。
為替リスク
外国為替は日々変動します。海外と取引をするということは、為替リスクを背負うということであり、クラウドクレジットは為替の面でも国内案件を扱う事業者と比べてリスクが高まってしまうのです。一部為替ヘッジ付き案件もありますが、利回りは低くなります。
事業者リスク
新興国の未成熟の社会の中で、最終資金需要者である個人や企業もそうですが、提携先会社の事業者も含めての不手際による損失発生もあり得るのです。
クラウドクレジットの3大リスク低減対策
クラウドクレジットは今まで、遅延や元本割れはありますが、貸し倒れはいまだありません。デフォルトなしできているのは驚きですが、彼らが投資の開始時点で手を打っている三つの対策があります。ひとつひとつを確認しましょう。
ファンド内で小口分散
例えば1000万円を原資に、1人に100万円ずつ合計10人に貸した場合、かりに1件でも回収できななければ大きい損失になります。
1000万円の貸付でも10万円ずつ100人に対し貸した場合は貸し倒れのリスクは下がります。貸し倒れ発生の際に、1件あたりの損失を低く抑えるための対策です。
ポイントは「貸し倒れを起こさない」のではなく「貸し倒れは起こる」前提で対策を最初から打っていることです。
延滞債権の買い戻し
これは債務者からの返済が一定期間滞った場合に、債権を提携業者に買取ってもらって損失を抑える対策です。
もっと言えば債権を売った分で新たな貸付をおこなって、債権を正常化してしまって金利を稼ぐということです。
実物資産の買い戻し(売り戻し)
提携業者が実物資産を扱っているなら、損失を限定させる担保と同様の効果を持つ対策が打てます。
例えば自動車のリース料債権への投資の場合、自動車そのものは提携業者の所有物です。使用者のリース料の支払いが滞った場合に、自動車を回収・現金化して損失を抑えることができます。
提携先の担保を取っているのと同じ効果を持ち、リスクが低減されるのです。
これらのリスク低減対策を周到に打っているクラウドクレジットだからこそ、遅延や元本割れがあるとはいえデフォルトに陥らず、利回りの割に実質的にはリスクを抑えているのです。
秘訣はクラウドクレジットの、同じファンドの中でも分散投資されているファンドを、ひとつに集中投資をするのではなく、投資家サイドでさらに分散投資をすることで、その中で不具合が出てもトータルではプラスの運用が可能になります。
まとめ
クラウドクレジットは元本割れを起こしているし、担保がないし、海外案ゆえの為替リスクもあるし・・・デメリットに思える要素が多いのは事実です。
しかしながらクラウドクレジットはデフォルトは起こって当然という前提で、リスクを低減するための対策を前もって打っているのです。
投資家はファンド選びさえ間違ず、分散投資を心がけることで、他のソーシャルレンディング事業者同様に決してハイリスクの投資にはならないのです。
また、クラウドクレジットは他事業者が色々と問題を起こしている中で、早くからやっているにも関わらず問題を起こしていないのは、立派なことです。
ともあれ、10%超の高利回りのファンドを多く扱っているので、まずは1万円から始められるので小口をいくつかから始めてみてはいかがでしょうか!
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