「maneoに興味があって、投資を始めてみようか考えてるんだけど、貸し倒れの噂を知って少し不安・・・」
「ソシャレンの草分けmaneoをやってみようかと思うが、貸し倒れがあったとも聞いているから、はたして信頼していいものかどうか?」
そんな声がちょくちょく聞かれます。
しかし貸し倒れ=デフォルトが過去に発生したmaneoは2011年以降、体制も変革して貸し倒れも発生していません。ネット上では貸し倒れ発生当時に近い、古い情報が存在しているので、必ずしも現状を反映していません。
その後も遅延や業務改善命令もありましたが、現在はある程度安全な投資対象と言ってよいでしょう。maneoに限らず投資というものに絶対安全などはありません。風聞に一喜一憂せずに、みずからどの情報が妥当なのかを知り、不安を解消しましょう。
この記事ではmaneoの過去の貸し倒れと、現在の運営状態についてくわしく解説します。maneoでの投資を考えている人の参考になると思います!
貸し倒れとは?簡単におさらい

maneoで実際に発生した貸し倒れに触れる前に、そもそも貸し倒れとは何かを簡単におさらいしておきましょう。
貸し倒れはデフォルトとも呼ばれる、投資において出資金の一部あるいは全部を失ってしまうということです。ソーシャルレンディング、つまり融資型クラウドファンディングにおける最大のリスクと言えます。
このリスクは投資家自身が全面的に負うことになります。サービスを運営している事業者からの返済などはありません。お金は本当に戻ってこないのです。
ということは、もしある業者が貸し倒れを頻繁に起こしているとすれば、その業者に投資をおこなうのは極めて危険だと考えられます。
実際のmaneoの貸し倒れの状況
(出典)https://www.maneo.jp/apl/structure
現在のmaneoのビジネスモデルとしては、上図のように投資家から集めた資金を直接個人にではなく法人に融資するスキームが確立しています。つまり、資金需要者に貸付を行うのはmaneo株式会社(maneoの運営会社であるmaneoマーケット株式会社の関連会社)です。
投資家は、匿名組合契約に基づいてmaneo株式会社に対する出資者となります。ということは最終資金需要者の事業が芳しくなくて返済不能に陥ったとしても、出資者が直接その損失を被るわけではなく、maneo株式会社が回収のためのあらゆる策を講じます。
以前はP2Pレンディング事業を手がけていたmaneo
しかしながら以前手がけていたのは、欧米のソーシャルレンディングと同様の個人向けのP2Pレンディング事業だったのです。
P2P(peer to peer)レンディングとはネットを経由した個人間での資金の貸し借りです。一般的なソーシャルレンディングは事業者が資金需要者と投資家との間に入り、ファンド、つまり匿名組合の組成をおこなって、その上で融資をおこないます。
P2Pレンディングの場合は、事業者は単なるサイト運営者の位置付けですが、ファンドの場合は、事業者は投資家の資金を預かるファンド運営者という位置付けになります。
そのP2Pレンディング事業において実際に貸し倒れが起こっていました。しかしその後に経営陣が入れ替わって新体制になり、P2Pレンディング事業からは撤退しています。そして201年以降、現状のビジネスモデルに転換した後は、貸し倒れは起こっていません。
現在のmaneoの安全性はどうなのか?
前述の通り2011年までP2Pレンディング事業で貸し倒れが起こっており、損失を被る投資家が現実にいたということは紛れもない事実です。
しかし、そういう経験を経てからのmaneoは、安全性を最重要視して企業向けのローンファンドのみを取り扱っています。その甲斐あって現行のファンドでの貸し倒れ件数ゼロという実績を上げ続けています。
このことから現在のmaneoの安全性はそこそこ高いと考えられます。ネット上のmaneonお貸し倒れに関する情報は古くなっていて、現在の姿を反映してはいないと判断するべきでしょう。
どんな投資商品・金融商品にも噂はつきものです。それらが事実としても、現在のものか過去の状態を言っているのかは、確かめて判断しましょう。
maneoを運営するmaneoマーケット株式会社には、一流企業が母体のベンチャーキャピタルが資本参加をしているので、社会的な信頼度も高いと言えるでしょう。
(出典)https://www.maneo.jp/
2017年3月の遅延は貸し倒れになったのか?
maneoでは2017年3月に返済の遅延案件が発生しています。同じ融資先に対して融資した3ファンドで、合計残高4,534万円の返済遅延となっていました。
余談ですが、こういった場合、maneoは資金回収に向けた折衝をおこないます。しかし最終的な資金の返済がなされる場合でも、完済までに長い期間を要する可能性はあります。その間投資家は資金を引き出すことはできません。
結婚資金や教育資金などの期限のある資金をソーシャルレンディング投資に投入すると、万一の場合はトラブルにつながりますので、必ず余剰資金にて投資をおこなうのが鉄則です。
この件では担保もあったので首尾よく回収できたのですが、場合によっては元金さえ戻らない可能性もあったことは、投資を考える人は心に留めておく必要があります。
2018年7月のmaneoに対する行政処分とは?
金融庁は2018年7月にmaneoを運営するmaneoマーケット株式会社に対し、行政処分を下しました。グリーンインフラレンディングを営業者とするファンド取得の勧誘行為に関する問題などが指摘され、業務改善命令が下されたのです。
運営が停止されることはありませんでしたが、改善対応策として経営体制の見直しや強化などを進めています。
業務改善命令の内容はおおむね以下の通りです。
● 当該の法令違反及び投資者保護上問題のある業務運営についての責任の所在の明確化および発生原因の究明ならびに改善対応策の策定実行
● 金融商品取引業者として必要な営業者の選定・管理に関わる業務運営態勢等の再構築
● 当該行政処分の内容および改善対応策について全顧客を対象とした適切な説明の実施と結果の報告
● 顧客からの問い合わせ等に対する誠実かつ適切なる対応と投資者間の公平性に配慮した投資者保護への万全なる措置
● 上記の対応の進捗状況および対応結果に関して2018年8月13日を起源とする金融庁への報告の実施
maneoマーケット株式会社からの、関東財務局から下された業務改善命令を受けてのついてコメントは以下の通りです。
“当社では、この度の業務改善命令を厳粛に受け止め、責任の所在を明確にするとともに、ファンドに対するモニタリングの強化・実効性確保をはじめとする業務運営態勢のより一層の強化や抜本的な内部管理態勢の見直しなどを行い、再発防止に向けて全社をあげて取り組んで参ります。”
(出典)https://cdn.maneo.jp/material/fund/news/info20180713.pdf
そして2018年8月14日、maneoマーケット株式会社は、この業務改善命令に基づく改善対応策等を報告したと発表しました。あわせて今後は、外部有識者からの評価・提言に耳を傾け、経営体制の見直し・強化などの改善対応策に邁進するとしています。
貸し倒れの捉え方
ソーシャルレンディングは高い利回りを武器とする、運用益の高い投資なので、当然貸し倒れや返済遅延などのリスクはつきものです。
投資家はソーシャルレンディングに対して貸し倒れや遅延のリスクが常に存在していることを織り込み済みで、投資に向き合うことが必要不可欠です。
有効なリスクヘッジの方法は、基本的には分散投資です。投資案件を分散することや事業者を分散する、または資金を分散するなどでリスク低減を図り、部分的にトラブルがあってもトータルでは元本割れにならないように安全に投資をおこなうことが大切です。
ノンリコースローンを理解しておこう
maneoの投資案件の多くはノンリコースローンによる貸し付けが行われています。ノンリコースローンとは一体何でしょうか?
ローン等の返済に関しての責任範囲が限定される融資方式をノンリコースローンと呼びます。このノンリコースローンは資金需要者の責任財産の範囲内でのキャッシュフローを原資として、それ以上の返済義務を負わないのです。
例えば、ノンリコースローンで7,000万円を調達するため、不動産評価額7,000万円の物件が担保として設定されているとしましょう。
もし資金需要者が何らかの理由で返済不能の状態に陥ってしまったとすると出資者は担保物件の売却価格あるいは同物件から生まれるキャッシュフローで返済していくことになります。
この際に売却価格やキャッシュフローがもし7,000万円に満たなかったとすると、通常のリコースローンであれば、資金需要者は7,000万円に届かない差額分にも返済義務も負うことになります。
しかしながら、ノンリコースローンの場合は責任範囲が当該物件に限定されています。よって、当該物件の売却価格やキャッシュフローの範囲を超える返済を、資金需要者が負わされていないのです。
maneoのトラブル対処法
それではmaneoの投資でリスクを低減する具体的な方法を、参考として解説していきましょう。
以下の3つのポイントごとにお話を進めます。
1:分散投資
2:担保や保証のある投資先を選択する
3:用期間が短期の投資先を選択する
1:分散投資
分散投資はmaneoだけではなく、すべてのソーシャルレディング、ひいてはすべての投資活動に関してとても大事です。
極論で言うと、わずか1ヶ所にすべての資金を投入してしまうと、その案件に問題が発生したとき、全投資金を失ってしまう危険性が充分考えられます。
可能な限り複数案件に分散投資しておけば、仮にそのうちの1~2件の貸し倒れ、あるいは延滞が発生したとしても、他の投資先からの運用益で補填できる可能性は非常に高くなります。
2:担保や保証のある投資先を選択
担保や保証のどちらか、あるいは両方が付いている案件を選択すれば、かなりリスク低減効果が期待できます。maneoにおいてはファンド一覧の部分で担保と保証の有無を確認できます。投資の際には、これはかならず確認しましょう。
3:運用期間が短期の投資先を選択
maneoでは、運用期間が3ヶ月~1年程度の案件をメインに用意されています。運用が長期間に亘る場合においては、途中で経営が悪化する確率が高まります。
どんなに順調な業績を上げ続ける企業でも、半年先に突然悪化してしまうことも考えられます。そういう観点から、短期間の運用期間を設定している案件のほうがリスクが低いと考えてよいでしょう。
また、最終資金需要者だけではなく、maneoなどのソーソーシャルレンディング事業者自体がなんらかの理由で、経営が悪化することもあり得ます。こう言うリスク避けるためにも運用期間の短い案件を選択するのもひとつです。
まとめ
利回りが高い投資は貸し倒れのリスクが高いものと考えるのが、海外におけるソーシャルレンディングです。日本に比べて高い頻度で貸し倒れが起こっています。であるがゆえに、貸し倒れに対する免疫力が高い状態にあります。
ソーシャルレンディングを手掛ける場合はよくよく安全性やリスクを踏まえて、リスクがカタチになった場合においても損失を最低限に抑えられる措置をあらかじめ取った上で、投資をおこなっていきましょう。
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